ナスダック100 (NASDAQ100)指数の構成銘柄は、毎年12月に入れ替えが発生します。
- 2020年に追加になる可能性のある銘柄は何でしょうか。
- 構成銘柄の追加発表による株価への影響はあるのでしょうか。
- NASDAQ100に追加される銘柄を予想できれば、大儲けする可能性があるのでしょうか。
ナスダック100の構成銘柄変更の基準はとてもシンプルです。本記事では構成銘柄変更の基準に従って、2020年に新たに追加される可能性のある銘柄を予想してみます。また、過去のナスダック100に追加・ナスダック100から除外された銘柄の値動きの特徴も簡単に紹介します。
結論
- 2020年のナスダック100の追加候補予想は下表の銘柄
- 2018年、2019年の追加銘柄発表による株価の優位性は確認できない
- 追加候補の銘柄に集中投資して爆益を狙うことは出来ない
採用候補の銘柄予想
時価総額順位 | ティッカー | 銘柄名 | セクター | 時価総額(ドル) | 出来高(1日) |
23 | SNY | Sanofi | Healthcare | 126.96B | 589,749 |
38 | EQIX | Equinix, Inc. (REIT) | Real Estate | 66.34B | 349,960 |
50 | TEAM | Atlassian Corporation Plc | Technology | 43.25B | 846,859 |
63 | VOD | Vodafone Group Plc | Communication Services | 35.80B | 4,336,610 |
64 | ERIC | Telefonaktiebolaget LM Ericsson (publ) | Technology | 35.69B | 10,625,127 |
67 | SBAC | SBA Communications Corporation | Real Estate | 34.55B | 654,978 |
72 | CSGP | CoStar Group, Inc. | Real Estate | 32.57B | 191,163 |
86 | MTCH | Match Group, Inc. | Communication Services | 27.57B | 2,832,424 |
追加銘柄数は、除外対象となる銘柄数にもよります。あくまで予想にすぎませんので、ハズレても責任は取れませんのでご了承ください。
ナスダック100の銘柄に追加されるための条件は何か?
ナスダック100指数の構成銘柄の入れ替えは、毎年12月に行われます。
ナスダック100入れ替えの基準
入れ替えの基準は以下の通りです。なお、算定のための時価総額には10月末または11月末時点の値が用いられます。また、銘柄は、ナスダック100指数の採用条件を満たしている必要があります。
ナスダック100構成銘柄定期入れ替えの基準
- 既存の構成銘柄の場合、時価総額の上位100位以内であれば残留となる。
- 既存の構成銘柄で、時価総額の上位101位から125位までに入っている場合、前年の時価総額が上位100位以内であれば残留となる。前年も100位以内でなかった場合、指数から外される。
- 既存の構成銘柄で、時価総額が上位125位以内でない銘柄は、前年の順位に関わらず指数から外される。
- 代わりに指数に組み込まれる銘柄には、構成銘柄以外の銘柄の内、最も時価総額の大きい銘柄が順に選ばれる。
ナスダック100構成銘柄に採用されるための必要条件
時価総額が大きければ必ず採用されるわけではありません。ナスダック100に採用されるためには、以下の必要条件を満たしている必要があります。
ナスダック100構成銘柄に採用されるための必要条件
- 米国内での上場がナスダックのみである。
- 金融企業ではない。
- 平均して、1日あたり最低でも20万株以上の出来高がある。
- 破産手続きに入っていない。
- 上場して2年以上が経過している。
詳細は以下の記事で解説しています。
2020年のナスダック100追加候補の銘柄は?
まずは追加ルールを確認します。以下のように、追加候補はナスダックの時価総額順に選ばれます。
代わりに指数に組み込まれる銘柄には、(ナスダック100)構成銘柄以外の銘柄の内、(ナスダック構成銘柄から)最も時価総額の大きい銘柄が順に選ばれる。
2018年と2019年いずれの年も、6銘柄が除外され、6銘柄が追加されました。
ナスダック約3,000銘柄から既にナスダック100に採用されている銘柄と金融企業を除き、9月22日時点の時価総額順の上位10位が以下のリストになります。実際の入れ替えでは10月末または11月末の時価総額が用いられます。
時価総額順位 | ティッカー | 銘柄名 | セクター | 時価総額(ドル) | 出来高(1日) |
23 | SNY | Sanofi | Healthcare | 126.96B | 589,749 |
38 | EQIX | Equinix, Inc. (REIT) | Real Estate | 66.34B | 349,960 |
50 | TEAM | Atlassian Corporation Plc | Technology | 43.25B | 846,859 |
63 | VOD | Vodafone Group Plc | Communication Services | 35.80B | 4,336,610 |
64 | ERIC | Telefonaktiebolaget LM Ericsson (publ) | Technology | 35.69B | 10,625,127 |
67 | SBAC | SBA Communications Corporation | Real Estate | 34.55B | 654,978 |
72 | CSGP | CoStar Group, Inc. | Real Estate | 32.57B | 191,163 |
78 | CRWD | CrowdStrike Holdings, Inc. | Technology | 29.66B | 7,614,075 |
86 | MTCH | Match Group, Inc. | Communication Services | 27.57B | 2,832,424 |
87 | DDOG | Datadog, Inc. | Technology | 27.22B | 5,630,495 |
※ 出来高2020/は9/21の一日あたりの出来高です。
CRWDとDDOGはNASDAQに上場してからまだ2年経過していないため、除外します。
直近の出来高ではCSGPのみ必要条件である最低20万株以上を満たしていませんが、過去10日間の平均出来高は238,604株となっており、問題はなさそうです。
VODは2018年に除外済です。一度除外された銘柄は採用されないというルールは見つからないため、恐らく問題なさそうです。
2018年、2019年とも6銘柄が追加となっているため、10月末、11月末の時価総額にもよりますが、時価総額のランキングに変化がなければ上述の8銘柄が候補になると考えられます。
ナスダック100採用後、株価の影響はあるか?
2018年と2019年の構成銘柄の変更発表後の株価の動きを見てみましょう。
結論から言うと、ナスダック100への採用が発表された翌日、発表から2週間の期間において大きな株価上昇などの傾向はみられませんでした。
2018年のアナウンス翌日の株価の騰落率
2018年の銘柄入れ替えの際は、2018年12月14日(金)にナスダックからアナウンスがあり12月17日(月)の市場オープンと共に適用されました。
種類 | ティッカー | 2018/12/14(金) | 2018/12/17(月) | 騰落率 |
ベンチマーク | NASDAQ | 6910.66 | 6753.73 | -2.3% |
追加 | AMD | 19.9 | 18.83 | -5.4% |
追加 | LULU | 119.12 | 118.87 | -0.2% |
追加 | NTAP | 61.43 | 59.61 | -3.0% |
追加 | UAL | 87.74 | 86.21 | -1.7% |
追加 | VRSN | 152.67 | 150.1 | -1.7% |
追加 | WLTW | 153.76 | 151.28 | -1.6% |
除外 | HOLX | 41.94 | 40.26 | -4.0% |
除外 | QRTEA | 20.07 | 19.54 | -2.6% |
除外 | STX | 38.55 | 37.43 | -2.9% |
除外 | VOD | 20.12 | 20.01 | -0.5% |
追加銘柄となったAMDやNTAPも、NASDAQ総合と比べて下落率が大きいこと、除外が発表された銘柄でもVODはNASDAQ総合と比べて下落率が小さいことが分かります。
発表翌市場日の株価への影響については、2019年の追加アナウンスを受けて株価への大きな影響があったとは断言しずらい結果になりました。
2019年のアナウンス翌日の株価の騰落率
2019年の銘柄入れ替えの際は、2019年12月13日(金)にナスダックからアナウンスがあり12月16日(月)の市場オープンと共に適用されました。
種類 | ティッカー | 2019/12/13(金) | 2019/12/16(月) | 騰落率 |
ベンチマーク | NASDAQ | 8734.88 | 8814.23 | 0.9% |
追加 | ANSS | 253.99 | 257.94 | 1.6% |
追加 | CDW | 137.77 | 140.69 | 2.1% |
追加 | CPRT | 88.62 | 90.19 | 1.8% |
追加 | CSGP | 580.56 | 589.37 | 1.5% |
追加 | SGEN | 113.87 | 114.73 | 0.8% |
追加 | SPLK | 143.51 | 146.31 | 2.0% |
除外 | HAS | 103.92 | 102.26 | -1.6% |
除外 | HSIC | 68.49 | 68.69 | 0.3% |
除外 | JBHT | 113 | 114.49 | 1.3% |
除外 | MYL | 19.14 | 19.03 | -0.6% |
除外 | NLOK | 26 | 25.97 | -0.1% |
除外 | WYNN | 129.78 | 130.94 | 0.9% |
追加が発表された銘柄は、ナスダック総合の上昇率と比べると相対的に大きい結果となりました。除外が発表された銘柄はナスダック総合よりも、全体的に騰落率が小さい結果になっています。ただし、この時のセクターの傾向等もあるためやはりはっきりしたことは言えません。
2019年の追加アナウンスを受けて株価への大きな影響があったとは断言しずらい結果になりました。
2018年の構成銘柄発表後2週間の追加銘柄の値動き
赤のグラフがベンチマークとなるナスダック総合指数です。
※ 発表のあった2018年12月14日から2018年12月29日までの株価チャート
2018年に追加の発表がされた6銘柄中4銘柄が、発表後2週間の期間ではナスダック総合指数をアンダーパフォームした。発表後に株価上昇に影響を与えたとは断定できない。
2019年の構成銘柄発表後2週間の追加銘柄の値動き
赤のグラフがベンチマークとなるナスダック総合指数です。
※ 発表のあった2019年12月13日から2018年12月31日までの株価チャート
2019年に追加の発表がされた6銘柄中4銘柄が、発表後2週間の期間ではナスダック総合指数をアンダーパフォームした。発表後に株価上昇に影響を与えたとは断定できない。
一般的にインデックスへの構成銘柄追加発表による株価への影響はあるのか?
一般的に、構成銘柄追加発表による株価への影響はあるのでしょうか。
日経225における銘柄追加・除外の株価への影響はある
以下は日経225に関する分析ですが、日経225への採用は対象銘柄の株価に好材料となる見方があります。
構成銘柄追加・除外発表と適用のタイミングは日経225とナスダック100では異なるため注意が必要です。
- 日経225では、構成銘柄の追加除外発表の2週間後に入れ替えが反映されます。
- ナスダック100では、構成銘柄の追加除外発表の翌日の市場オープンと共に入れ替えが反映されます。
日経225について、株価影響を認めている考察①
以下は日経225の構成銘柄変更における株価影響について考察された記事です。
日経平均連動型のETFを運用しているインデックスファンドは、日経平均と連動させるため、日経225銘柄のポートフォリオを構成して運用する必要があります。
日経225からある銘柄が除外され、新たにある銘柄が採用されたら、機関投資家は除外銘柄をポートフォリオから外し、採用銘柄を新たにポートフォリオに組み込む必要が生まれます。
つまり、機関投資家からの買いが入ることが期待されるため、日経225への採用は好材料となります。
材料株⑪「日経225入れ替え」は採用銘柄と除外銘柄で株価には逆の影響がある! | 低位株・テーマ株ちゃんねる
日経225について、株価影響を認めている考察②
以下の論文では、1991年から2002年の日経平均株価の構成銘柄入れ替えに関する影響のシミュレーションがされています。
ここで得られた実証結果は以下三つの意味で意義深い。第一に、指数への採用、除外発表日に有意な超過収益率が観察されることから、指数に採用という企業価値と無関係なニュースにも株価は反応すること。これは非情報(non-information)には反応しないという効率的市場仮説とは合致しない現象である。
日経225構成銘柄入れ替えにおける株価動向と トレーディングシミュレーション
これら考察、シミュレーション結果に基づくと、日経225では、銘柄入れ替における株価影響はある。理屈としては、パッシブ運用するインデックスファンドは、日経225の構成銘柄入れ替えに伴い、追加銘柄を購入、除外銘柄を売却する機械的な売買が生じるため。
なぜナスダック100では構成銘柄への追加による株価影響が認められなかったのか?
日経225では、構成銘柄に追加された銘柄の株価は株価に好材料となったという見解がありましたが、なぜ2018年、2019年のナスダック100ではそのような傾向が見られなかったのでしょうか。
この疑問ついては、ほとんど調査もしておらず日経225の定期入れ替えのロジックも理解してないので、仮説を述べるだけにとどめます。
ナスダック100で、構成銘柄への追加による株価影響が認めれなかった原因仮説
- 【仮説1】ナスダック100は入れ替え基準が明確なため、事前に株価に織り込まれる
- 【仮説2】ナスダック100に連動するインデックスファンドの売買影響は小さい
- 【仮説3】ナスダック100の構成銘柄変更における検証が2018年、2019年では少なすぎる
まとめ
ナスダック100の入れ替え条件に基づいて、予想をしてみました。2018年、2019年の結果では、ナスダックの発表後の翌日の市場オープンでは、発表による大きな株価影響は認められませんでした。
2020年の追加銘柄予想で先回りして買っておいたとしても、大儲けするのは難しそうです。
2020年9月24日から国内ETFにナスダック100に連動するETFが新たに2つ追加されます。新たに追加されるナスダック100連動の国内ETF2については。以下の記事で説明していますので、こちらもご覧ください。