米国株式をやっていると、様々な企業が業種に分類されていることに気がつくと思います。これらのセクターについて理解しましょう。
世界産業分類基準(GICS)とは
世界産業分類基準(GICS)は、先進国及び開発途上国を含む世界中の企業を一貫して分類するように設計されています。
GICSはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスとMSCIによって共同で開発されました。
GICSは金融業界向けに開発されましたが、国・地域・世界全体にわたって企業・セクター・産業ごとの比較を可能とします。
GICSメソドロジーによる分類システムでは、11のセクター、24の産業グループ、69の産業、及び158の産業サブグループで構成されています。
世界産業分類基準(GICS) – S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス (PDFファイル)
企業の分類方法
それでは企業はどのようにセクターに分類されるのでしょうか。上述の世界産業分類基準GICSに記載されているGICSメソドロジーには以下の記載があります。
企業は、企業の売上高の大半を生み出している事業活動を最も厳密に説明している産業サブグループに分類されます。ただし、企業が 2 つ以上の大きく異なる事業活動に従事し、いずれの事業活動も売上高の 60%以上に寄与していない場合、売上高及び利益の大半を提供している産業サブグループに分類されます。企業の売上高及び利益の大半を提供している産業サブグループが存在しない場合、「コングロマリット」産業サブグループ(資本財・サービス・セクター)または「マルチセクター持株会社」産業サブグループ(金融セクター)のいずれかに分類されます。
新たに設立された企業の場合、当初の分類は、主に企業の設立趣意書に記載されている企業の事業活動やプロフォーマ財務書類の説明に基づきます。
仮にある企業の子会社がその報告政府機関に独立した財務書類を提出する場合、その子会社は独立した事業体と見なされ、GICS メソドロジーに基づき独立して分類されます。企業に直接関連する株式はその企業と同じ分類となります。GICS 分類は、ミューチュアルファンド、クローズドエンド型ファンド、債券、または上場投資信託(ETF)に割り当てられることはありません。
つまり企業はいずれかの産業サブグループに分類されます。その産業グループは以下のルールによって決まります。
- 企業の売上高の大半を生み出している事業活動を表す産業サブグループに分類される
- 企業が2つ以上の大きな事業活動に従事し、いずれも売上高の60%以上に寄与しない場合、売上高及び利益の大半を提供している産業グループに分類される
- 企業の売上高及び利益の大半を提供している産業サブグループが存在しない場合、「コングロマリット」産業サブグループ(資本財・サービス・セクター)または「マルチセクター持株会社」(金融セクター)のいずれかに分類される
- 新たに設立された企業の場合、当初の分類は企業の設立趣意書の記載等に基づく
- 子会社は独立した事業体とみなされ、独立して分類される
GICSの11のセクター
2020年6月7日時点のGICSのセクターは以下の通りです。日本語と英語のセクター名の関係性が分からなくなった場合のために、日本語英語両方のセクター名を記載しておきます。
セクター(日本語) | セクター(英語) | 代表的な企業例 |
一般消費財・サービス | Consumer Discretionary | Amazon.com Inc., Home Depot, Inc. Tesla Inc |
生活必需品 | Consumer Staples | Procter & Gamble Company, Coca-Cola Company. |
エネルギー | Energy | Exxon Mobil Corporation, Chevron Corporation |
金融 | Financials | JPMorgan Chase & Co., Bank of America Corp |
ヘルスケア | Health Care | Johnson & Johnson, Pfizer Inc. |
資本財・サービス | Industrials | 3M Company, Caterpillar Inc. General Electric Company |
情報技術 | Information Technology | Apple Inc., Microsoft Corporation |
素材 | Materials | Newmont Corporation, Ecolab Inc. |
電気通信サービス | Communication Services | Facebook, Inc. Alphabet Inc. AT&T. |
公益事業 | Utilities | NextEra Energy, Inc., Duke energy Corporation |
不動産 | Real Estate |
セクターのコード体系
企業は唯一の産業サブグループに所属することになります。また、以下のようなコード体系になっています。
GICS分類 | 名称 | GICSコード |
セクター | 一般消費財・サービス | 25 |
産業グループ | 消費者サービス | 2530 |
産業 | ホテル・レストラン・レジャー | 253010 |
産業サブグループ | カジノ・ゲーム | 25301010 |
S&P500指数のセクター別構成比率
それでは米国株式の代表的な指数であるS&P500におけるセクター別構成比率を見てみましょう。ここではVanguardのS&P500指数に連動するETFのVOOの構成比率を参考にします。
セクター(日本語) | 構成比率 |
ヘルスケア | 15.40% |
情報技術 | 15.40% |
電気通信サービス | 10.90% |
一般消費財・サービス | 10.50% |
金融 | 10.50% |
資本財・サービス | 7.90% |
生活必需品 | 7.40% |
公益事業 | 3.30% |
エネルギー | 3.00% |
不動産 | 2.90% |
素材 | 2.50% |
ヘルスケアと情報技術セクターがともに15.4%で最も多くの割合を占めることが分かると思います。
まとめ
投資をおこなっていくうえで、経済状況によってセクターごとの成長率は変わってきます。ぜひセクターについてもしっかり理解しましょう。