ゴールドマン・サックスが運用している5つのテーマ型ETF GDAT, GFIN, GDNA, GMAN, GBUYについて紹介します。
5つのテーマ型ETFとは
- ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが販売する5種類のETF
- 銘柄選定にビッグデータ/AIを活用しイノベーションとの関連度が高い企業に投資
- 日本の大手ネット証券会社(楽天証券、SBI証券、マネックス証券)から購入可能
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは、今後世界を変えるであろう5つのイノベーション(革新的な変化)に注目します。銘柄選定にビッグデータ/AIなどの先進的なテクノロジーを活用し、イノベーションとの関連度が高い企業に投資します。
Goldman Sachs ETF ゴールドマン ・サックス ETF | ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
概要
ETF名 | ティッカーシンボル |
---|---|
GSデータイノベーションETF | GDAT |
GS 金融イノベーションETF | GFIN |
GS ヘルスケアイノベーション・インデックス | GDNA |
GS 製造イノベーションETF | GMAN |
GS 消費イノベーション・インデックス | GBUY |
- GSデータイノベーションETF (GDAT)
- データ量が爆発的に増えていく中で、これまで分析が難しかった画像や音声などのデータも、AIの発展に伴ってビジネスへの活用が始まっています。同時に、サイバーセキュリティのようなデータを管理するビジネスも、今後の発展が期待できます。このような環境の変化から恩恵の享受が期待されるのが「GS データイノベーションETF」です。
- サブテーマ:●Eコマース ●ソーシャルメディア ●モノより体験 ●教育の進化 ●オンラインゲーム ●オンライン音楽/動画 ●健康関連消費
- GS 金融イノベーションETF (GFIN)
- テクノロジーの発展によって、オンライン決済やアプリでの送金などが私たちの生活を便利にし、お金そのもののあり方が変わってきています。また、資産運用の世界でも、テクノロジーの活用が進むでしょう。このような環境の変化から恩恵の享受が期待されるのが「GS 金融イノベーションETF」です。
- サブテーマ:●AI(人工知能) ●IoT(Internet of Things)●データインフラ ●ビッグデータ ●サイバーセキュリティー
- GS ヘルスケアイノベーション・インデックス (GDNA)
- 遺伝子解析技術の進化により、個人の遺伝子が解析され、オーダーメイドの治療が始まっています。一人ひとりにあった薬が作られる未来も近くまできています。また、ロボットの活用により、より高度な手術が可能になるでしょう。このような環境の変化から恩恵の享受が期待されるのが「GS ヘルスケアイノベーションETF」です。
- サブテーマ:●高精度医療 ●ゲノミクス ●長寿命化 ●ロボット支援手術 ●デジタルヘルスケア
- GS 製造イノベーションETF (GMAN)
- ロボットの普及により、工場などではすでに製造プロセスの高度化が進んでいます。また、未来型モビリティの発展によって、自動運転や渋滞のない世界が現実的になってきています。このような環境の変化から恩恵の享受が期待されるのが「GS 製造イノベーションETF」です。
- サブテーマ:●ロボティクス ●3Dプリンティング ●未来型モビリティ ●ドローン ●クリーンエネルギー
- GS 消費イノベーション・インデックス (GBUY)
- Eコマースが発達し、私たちの買い物の仕方は変わってきています。一方、モノより体験を重視する新世代の台頭により、旅行やイベントなど、体験型消費も拡大していくでしょう。このような環境の変化から恩恵の享受が期待されるのが「GS 消費イノベーションETF」です。
- サブテーマ:●Eコマース ●ソーシャルメディア ●モノより体験 ●教育の進化 ●オンラインゲーム ●オンライン音楽/動画 ●健康関連消費
各銘柄の比較
GDAT | GFIN | GDNA | GMAN | GBUY | QQQ | |
---|---|---|---|---|---|---|
運営会社 | Goldman Sachs | Goldman Sachs | Goldman Sachs | Goldman Sachs | Goldman Sachs | Invesco |
ファンド設立日 | 2019/3/1 | 2019/3/1 | 2019/3/1 | 2019/3/1 | 2019/3/1 | 1999/3/10 |
ファンド経費率 | 0.50% | 0.50% | 0.50% | 0.50% | 0.50% | 0.20% |
配当率 | 0.93% | 0.78% | 0.32% | 0.67% | 0.25% | 0.66% |
純資産額 | 32.95M | 25.55M | 28.44M | 18.84M | 36.83M | 115.23B |
投資地域 | グローバル | グローバル | グローバル | グローバル | グローバル | U.S. |
銘柄数 | 120 | 119 | 119 | 122 | 120 | 100 |
ベンチマークのためにQQQも入れています。データはいずれも7/28時点にYahoo! Finance, ETF.db, またはSBIで証券から取得したものです。以下にQQQと比較した場合の特徴をまとめます。
- Goldman Sachsが運営
- 投資対象は米国ではなくグローバル
- ファンド設立からまだ日が浅い
- 純資産額が小さい (QQQの1,000分の1程度)
- 経費率が高い
- 配当率は比較的高いものもある
- 銘柄数は120程度とQQQと同程度の分散
セクター | GDAT | GFIN | GDNA | GMAN | GBUY |
---|---|---|---|---|---|
素材 | 0.35% | 4.96% | |||
一般消費財 | 8.01% | 0.15% | 23.09% | 46.62% | |
金融 | 2.72% | 47.40% | |||
不動産 | 3.38% | 2.84% | |||
生活必需品 | 1.08% | 10.49% | |||
ヘルスケア | 0.27% | 99.78% | 2.47% | 1.60% | |
公益事業 | 0.28% | ||||
電気通信サービス | 10.45% | 4.96% | 0.36% | 37.83% | |
エネルギー | 1.50% | ||||
資本財・サービス | 1.75% | 4.50% | 31.86% | 0.85% | |
情報技術 | 73.69% | 39.52% | 0.22% | 34.40% | 2.62% |
合計 | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
10%以上のセクターを太字にしています。
- GDATは情報技術73.69%、電気通信サービス1.45%、その他で構成
- GFINは金融47.40%、情報技術39.52%、その他で構成
- GDNAはヘルスケア99.78%、その他で構成
- GMANは情報技術34.40%、資本財・サービス31.86%、一般消費財23.09%、その他で構成
- GBUYは一般消費財46.62%、電気通信サービス37.83%、生活必需品10.49%、その他で構成
各ETFの構成銘柄
GDAT
Top 10 Holdings (29.19% of Total Assets)
Name | Symbol | % Assets |
---|---|---|
NVIDIA Corp | NVDA | 4.15% |
Amazon.com Inc | AMZN | 3.84% |
Microsoft Corp | MSFT | 3.60% |
Alphabet Inc A | GOOGL | 3.00% |
Apple Inc | AAPL | 2.95% |
Intel Corp | INTC | 2.90% |
Facebook Inc A | FB | 2.87% |
Adobe Inc | ADBE | 2.07% |
SAP SE | SAP.DE | 1.95% |
Alibaba Group Holding Ltd ADR | BABA | 1.86% |
データとAIを活用している企業代表である、GAFAM全社が名を連ねる。GPUコンピューティングでAIに貢献するNVIDIAも含まれます。
GFIN
Top 10 Holdings (27.71% of Total Assets)
Name | Symbol | % Assets |
---|---|---|
Mastercard Inc A | MA | 4.89% |
Visa Inc Class A | V | 4.12% |
Square Inc A | SQ | 3.77% |
PayPal Holdings Inc | PYPL | 3.32% |
Fidelity National Information Services Inc | FIS | 2.24% |
Intuit Inc | INTU | 2.10% |
Worldline SA | WLN.PA | 2.02% |
American Express Co | AXP | 1.80% |
Fiserv Inc | FISV | 1.74% |
Blackstone Group Inc | BX | 1.71% |
VISA、American Express、Mastercardといったカード企業が上位を占める。さらにはPaypalやSquareといったオンライン決済企業も含まれます。
GDNA
Top 10 Holdings (29.14% of Total Assets)
Name | Symbol | % Assets |
---|---|---|
Intuitive Surgical Inc | ISRG | 4.23% |
Abbott Laboratories | ABT | 3.55% |
Medtronic PLC | MDT | 3.25% |
Johnson & Johnson | JNJ | 2.92% |
Fresenius Medical Care AG & Co. KGaA | FME.DE | 2.84% |
Roche Holding AG Dividend Right Cert. | ROG | 2.83% |
AstraZeneca PLC | AZN.L | 2.67% |
Boston Scientific Corp | BSX | 2.62% |
Sanofi SA | SAN.PA | 2.15% |
BeiGene Ltd ADR | BGNE | 2.08% |
手術ロボット製造のISRG、医療製品のAbbottをはじめ、製薬関連銘柄が多く含まれます。
GMAN
Top 10 Holdings (25.88% of Total Assets)
Name | Symbol | % Assets |
---|---|---|
Tesla Inc | TSLA | 4.99% |
NVIDIA Corp | NVDA | 2.88% |
ABB Ltd | ABBN | 2.83% |
Amazon.com Inc | AMZN | 2.70% |
Rockwell Automation Inc | ROK | 2.52% |
Keyence Corp | 6861 | 2.19% |
Dassault Systemes SE | DSY.PA | 2.05% |
Schneider Electric SE | SU.PA | 2.00% |
JD.com Inc ADR | JD | 1.94% |
Ansys Inc | ANSS | 1.78% |
産業ロボットメーカーのABB、産業オートメーション製造のROK、ECのAMZNが名を連ねます。他にも日本のキーエンスも上位構成銘柄に含まれています。
GBUY
Top 10 Holdings (25.55% of Total Assets)
Name | Symbol | % Assets |
---|---|---|
Amazon.com Inc | AMZN | 3.30% |
Tencent Holdings Ltd | 700 | 3.22% |
Facebook Inc A | FB | 3.05% |
Alibaba Group Holding Ltd ADR | BABA | 2.79% |
Netflix Inc | NFLX | 2.39% |
Meituan Dianping | 3690 | 2.37% |
JD.com Inc ADR | JD | 2.31% |
Pinduoduo Inc ADR | PDD | 2.29% |
Sea Ltd ADR | SE.SI | 1.97% |
Spotify Technology SA | SPOT | 1.86% |
ECのAMZN、BABAをはじめ、ソーシャルのFB、Tencentが含まれる。単純なモノの消費だけではなく体験の消費関連の銘柄が含まれるのが特徴的です。
株価騰落率の比較
過去2年間のチャート
QQQが全てを優先する。GBUYはかなりQQQに近い。
YTDのチャート
2020年からの株価上昇率。GBUYのみがQQQを優先する。コロナによるEC需要の恩恵を受けている影響が大きいだろう。一方でGBUY以外は全てQQQを劣後している。
トータルパフォーマンスの比較
株価上昇率と配当利回りをあわせたトータルパフォーマンスを見てみます。ベンチマークとしてQQQとVOOを足します。
Trailing Returns (%) Day End比較
ティッカーシンボル | 1-Day | 1-Week | 1-Month | 3-Month | YTD | 1-Year | 3-Year | 5-Year |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GDAT | -1.09 | -1.38 | 7.25 | 21.24 | 14.85 | 23.25 | — | — |
GFIN | -1.05 | -1.69 | 5.8 | 21.12 | 5.68 | 7.98 | — | — |
GDNA | -1.02 | -1.87 | 8.71 | 15.53 | 13.31 | 23.24 | — | — |
GMAN | -1.11 | -1.86 | 12.14 | 27.24 | 11.85 | 25.62 | — | — |
GBUY | -0.37 | -1.32 | 6.86 | 33.38 | 28.36 | 37.52 | — | — |
QQQ | -1.27 | -2.72 | 6.91 | 21.63 | 21.25 | 32.56 | 22.32 | 19.34 |
VOO | -0.62 | -1.17 | 7.05 | 12.93 | 0.73 | 8.46 | 11.34 | 11.2 |
※3-Year, 5-Yearは年利回りに換算済。データはMorningstar.comより引用。
- GBUYは1-Year, YTD,3-Monthの全ての期間で、最も高いパフォーマンス。2020年コロナショック後のEC需要による回復影響が大きい
- YTDではいずれもVOOを大きく上回るパフォーマンス
- 1-Yearでは、GFINのみがVOOと同程度のパフォーマンスで、その他はどれも20%を超える高いパフォーマンス
まとめ
ゴールドマン・サックスが運用している5つのテーマ型ETFについて紹介しました。以下にメリット・デメリットをまとめます。
メリット | デメリット |
---|---|
GFIN以外は1-Yearで比較的高いトータルパフォーマンス QQQと同程度の120銘柄への分散 QQQと違い特定の分野に対する集中投資 グローバルへの投資 | 経費率の高さ ファンド設立日からの日の浅さ 純資産の少なさ テーマが外れた時のリスク |
是非皆様の投資にご活用いただければ幸いです。